「遠くのものをより近くに(大きく)見たい!」
という欲求にこたえるのが、双眼鏡の大きな役目であることは間違いありません。
以前、線路の外で高級カメラを構えていた鉄道ファンをたまたま見かけた時に、
「双眼鏡って使わないですか?」
と聞いたところ、
「要りません。望遠レンズをつけて(カメラ)のファインダーで十分です。」
という回答でした。
彼らは見るより、撮影することが大きな目的であるので仕方ないのかもしれませんが、
双眼鏡の最大の魅力は「立体感」にあると思うのです。
左右の目で微妙にズレる(視差)を脳が補正することによって、立体感を感じることが出来るのですが、双眼鏡でしかこれを味わうことが出来ません。
先ほどの例ですと、双眼鏡で見ると遠くまで続くレールの距離感を感じつつ、向こうから少しずつ列車が近づく様を感じることが出来るのです。
同じ倍率や条件で望遠鏡やカメラのファインダーで見た時とは、明らかに印象が違うはずです。
遠すぎて距離感を感じないはずの月でさえ、双眼鏡で見ると球体のように脳が錯覚を起こすのか、小さなボールが浮かんでいるように感じることもあるほどです。
立体感を感じる能力が備わっているのですから、これを最大限に利用している双眼鏡は、「立体感」によって明らかに望遠鏡とは差別化されている、と言えます。