以前、友人に誘われてサッカーJリーグの試合を見に行きました。応援団の熱気を感じながらの観戦に徐々にボルテージが上がったのですが、選手までの距離が遠すぎてプレーの詳細が見えませんでした。
シュートが決まったかどうかも周りの反応を見ながら確認するので、ちょっとタイミングがズレてしまいます。
「やっぱり双眼鏡を持ってくるんだった!」
以来、スポーツ観戦には欠かさず双眼鏡を持っていくようにしています。コンパクトな双眼鏡があるだけで、全然楽しさが変わってくるからです。
今回の記事では、プロのスポーツだけでなく子どもの運動会なども含めて、どのような双眼鏡が適しているのかについて詳しく説明します。
プロスポーツの観戦だけでなく、子どもが参加している部活の試合などスポーツ観戦の機会は意外と多くあります。
双眼鏡は立体視できるため、間近でプレーを見ているかのような感覚になります。空手の型の試合を双眼鏡で見たときは、審判席から見ているかのような迫力がありました。
スポーツ観戦では、対象物に動きがあることと広い範囲を確認できることがポイントです。大きい高倍率の双眼鏡を選んでしまうと、大きくは見えるもののプレー中の選手を捉えることができずにストレスを感じます。
大雑把にいえば、コンパクトで低倍率、そして広い実視界が求められます。
観戦中は飲食をしたり立ち上がったりするため、首から下げている双眼鏡が邪魔になりがちです。口径20mm台のコンパクトで軽量なものを選ぶようにしましょう。
ストラップは両吊りタイプのものが素早く双眼鏡を使えるので便利です。片吊りでも悪くはありませんが、ワンテンポ遅れてもどかしいときがあります。
・広視界の双眼鏡がスポーツ向き
サッカーやラグビーなど常に動きのあるスポーツでは、双眼鏡を向けた瞬間に見たい場所を視界に入れられる双眼鏡が理想です。そのため、倍率は5~6倍の低倍率のほうが好ましいです。
また、実視界(実際に双眼鏡で見えている範囲)が広い方が対象物を導入しやすいです。カタログにある実視界の項目が、最低でも8度以上のものを選ぶようにしましょう。
・実視界と見かけ視界
実視界とよく似た項目に「見かけ視界」という用語があります。この二つの視界はまったく異なるものなので注意が必要です。簡単に説明します。
実視界とは実際に見えている範囲と眼を結んだ角度のことです。双眼鏡を使って中央三体のぬいぐるみが視野に入っていれば(黒い点線内)、黄色の角度が実視界です。
つぎに、見かけ視界とは双眼鏡の視野と眼を結んだ角度のことです。写真ではトイレットペーパーの芯を使って双眼鏡の視野を再現しました。
上が普通の見かけ視界で、井戸の底を上から眺めているかのようです。下は見かけ視界が広い双眼鏡の見え方を再現したものです。大きな窓から景色を見るかのように広々とした視野を得られます。
見かけ視界・倍率・実視界の関係は次の式で求められます。
見かけ視界(度)÷倍率=実視界
したがって、同じ倍率なら見かけ視界が広い方が実視界が大きくなり、広範囲を眺めることができます。倍率が高くなると実視界は狭くなります。
以上のことから、スポーツ観戦に使うなら低倍率(5~7倍)で見かけ視界が標準以上(50度)を選ぶようにしましょう。実視界は7~10度になるため、観たいものを一瞬でとらえることができます。
日の出光学の5×21-A5は低倍率で見かけ視界が55度と標準よりやや広いため、実視野が11度にも達しています。低倍率で広い視野の双眼鏡を作るのは難しく、貴重な存在です。
サッカーは基本的に動き続ける競技です。しかし、ときどきコーナーキック、フリーキック、ペナルティキックなどいわゆるセットプレーの機会があります。
誰がボールを蹴るのかやゴール前の緊張感のある駆け引きはサッカーの醍醐味ですが、観客席の反対側だと遠すぎて見えません。
そんなときに双眼鏡を使用すると、背番号はハッキリ確認できるため断然おもしろくなります。
シュートを決めたときのボールの変化は、立体視できる双眼鏡でみると強調されるためより印象に残ります。
導入にもたもたしていると大切なシーンを見逃してしまうので、コンパクト・低倍率・広視界の双眼鏡が理想です。
野球はサッカーと異なり、ピッチャーとバッターだけ見る時間が長くなります。また、野球中継では映し出されないような、ベンチの中の様子とかブルペンでの様子なども双眼鏡を使うと楽しめるようになります。
見る場所がある程度限定されるため、倍率は6~8倍、実視界は7度以上の双眼鏡を選ぶようにすればストレスを感じることはないはずです。口径は20mm台のコンパクト~30mmの本格的な双眼鏡が良いでしょう。
私は子どものころ野球観戦に行き当時の阪急ブレーブスの投手山田久志さんのピッチング練習を双眼鏡で見たことがあります。
両目で見る双眼鏡は立体感が強調されるため、信じられないほど大きく曲がる変化球に唖然とした記憶が残っています。
小さなお子さんがいる家庭では、運動会は大事なイベントです。会場では子どもの出番になると親がビデオカメラや一眼レフを構えて必死に撮影しています。
私は運動会に双眼鏡を持っていきますが、私以外に双眼鏡を使っている人はほとんど見かけません。
コンパクト双眼鏡が1台あるだけで、徒競走前の緊張した子どもの表情がゴール付近からも確認できます。離れた場所で踊っていても目の前で見ているかのようによく見えます。
小学生の校庭の広さなら、5倍の双眼鏡で充分です。ビデオやカメラで撮影するのも大切ですが、撮影担当でないお父さんお母さんは双眼鏡があれば子どもの様子を記憶に焼き付けることができます。
おじいちゃんやおばあちゃんが使うことも考えて、アイポイントが寛容な双眼鏡(見やすい双眼鏡)を選ぶようにしましょう。
屋外で行われるスポーツを観戦するときは、雨天も想定しなければいけません。そのため双眼鏡も防水機能が必要と考える気持ちもわかります。
しかし、雨が降るなかで双眼鏡を使い続けることはあまり考えられません。重量が重く、コストも上昇するため、防水機能にこだわる必要はありません。
・アイレリーフについて
近視の人で普段メガネをかけている人は、双眼鏡を選ぶときには注意が必要です。スポーツ観戦は友人や家族で出かけることが多いため、双眼鏡を複数の人で使用することが予想されます。
双眼鏡の接眼レンズ(のぞくほうのレンズ)と目の間にメガネのレンズが入るため、少し距離が離れます。
このことを想定して設計された双眼鏡なら、メガネをかけたままでも双眼鏡を使うことができます。
メガネをかけたままでも使用できる双眼鏡を選びたければ、スペック表にある「アイレリーフ」の項目の数字に注目してください。アイレリーフが14㎜以上ならメガネをかけたままでも問題なく使用できます。
アイレリーフが14mm以上あるタイプのものを「ハイアイ」とか「ロングアイレリーフ」と呼ぶことがありますので、覚えておきましょう。
インドア、アウトドアにかかわらずスポーツ観戦するときは双眼鏡があると一層楽しめます。スポーツ観戦には大型の双眼鏡は不要です。コンパクト・低倍率・広視界の双眼鏡を選ぶようにすれば間違いありません。
動いている時間が長いサッカーなどは、広い範囲が見渡せる双眼鏡であることがポイントです。一方、野球観戦にはもう少し高い倍率の双眼鏡を使用すると、選手の表情やベンチの様子などを観察できて楽しみが増えるかもしれません。
プロのスポーツに限らず子どもが参加するスポーツの試合や運動会にも双眼鏡を持っていきましょう。緊張した子どもの表情までわかるので、一層イベントを楽しめます。
雨天の中、双眼鏡を使い続ける人はあまりいないので、防水機能にはこだわらなくてもよいです。mた、メガネをかけている人でも使いやすいロングアイレリーフの双眼鏡を選ぶようにしましょう。
今回の記事で紹介したポイントをおさえた双眼鏡を選んで、スポーツ観戦を楽しみましょう。