双眼鏡で観察する対象は、数メートル先の物(人)~無限遠まであります。また、対象が動けば、双眼鏡からの距離が変わります。
このときに必要になるのが、ピント合わせ(Focus)です。
初心者に双眼鏡を貸すと、
「なんだかボヤけてよく見えない」
といわれることがありますが、ピント合わせをしていないことがよくあります。対象がシャープに見えるように、きちんとピントを合わせるのはとても重要です。
双眼鏡のピント調節の方式は、2種類あります。
・IF:Individual Focus(単独繰出し)
双眼鏡の左右の接眼部を回転させて、別々にピントを調節する方式です。
IF式の双眼鏡で頻繁にピント合わせをすると面倒です。なぜなら、左右別々にピントを合わせないといけないからです。
しかしながら、船舶の監視用や天体用ではIF式が好まれます。理由は、基本的に無限遠でしか使用しないからです。
IF式は機構上シンプルなため、丈夫で精度が出しやすいという長所があります。
・CF: Center Foucs(中央繰出し)
センターフォーカスは、中央のフォーカスリングを回すだけで左右の接眼部が同時に前後に動きます。
そのため対象物までの距離が頻繁に変化する用途で力を発揮します。
例えば、バードウォッチングをしているとき、5m先のカモを観察しているとします。すると頭上に、鵜の群れが向かってくるのに気づきます。双眼鏡を向け、センターフォーカスを大きく回すと、すぐに鵜の群れにピントが合います。
一般に販売されている双眼鏡のほとんどはCF方式になっています。
欠点は、精度が悪いと左右の接眼部が平行に動かなかったりすることです。