対物レンズ口径 | 21mm |
倍率 | 6倍 |
アイレリーフ | 14mm |
明るさ | 12.25 |
レンズ、プリズムのコーティング | 全面9層マルチコート |
最短合焦点距離 | 2.5m |
重量 | 192g |
サイズ | 横108mm×縦87mm×厚さ48mm |
プリズム | Bak4 |
カラー | シャンパンゴールド |
生産国 | 中国 |
眼幅調整範囲 | 58〜70mm |
防水性能 | 防水ではありません |
付属品 | ソフトケース、接眼キャップ、ストラップ |
私は街のカメラ量販店にある双眼鏡コーナーに時々立ち寄り、お客さんの動きを見ることがあります。
初心者らしい方は、ほとんど「コンパクトタイプ」と呼ばれる口径20ミリクラスの物を探し、店員さんも、20ミリクラスの双眼鏡をすすめています。
理由は価格が手頃だからでしょうが、私には違和感を感じるのです。
なぜなら、
「コンパクト双眼鏡は特殊。」
なのです。
小さい口径・携帯性など厳しい制限の中で、精一杯明るく作る工夫がないと、まともに見える双眼鏡にはなりません。
言い方を変えると、
「コンパクト双眼鏡は本来割高である。」
ということです。
ところが、一般的なコンパクト双眼鏡のほとんどは、価格を抑えるために標準以下の仕様で作られています。
もともと口径が小さい上に、作りが手抜きなので、当然見え味は落ちます。
現在販売されているコンパクト機のほとんどは、
「手抜きだらけの低価格」と「一部の超高級機」に2分されていて、その中間のポジションのモデルがなかなか見つかりませんでした。
常々、考えていました。
「誰か本気で良く見えるコンパクトを作ってくれないかなー。あと、ちょっとだけならお金を払うから。あ、でもチョットだけね。」
皆様にご紹介するのは、一般的なコンパクト機にありがちなチープな印象など吹き飛ばす、極めて真面目につくられた「ヒノデ6×21-S1」です。
価格は通常のコンパクト機よりもやや高いのですが、見え方は超高級機寄りで、従来の製品とは一線を画するものです。
この双眼鏡の第一のウリですが、
「低倍率(6倍)で明るいこと」
口径20ミリだと、8倍のモデルが多いのです。
試しに明るさ(ひとみ径の二乗)を数字で比較すると、
8×20→「6.25」
6×21→「12.3」
となり、6倍の圧勝。
日の出光学からは低倍率コンパクトの「5×20-A3」が出ております。
単純に明るさの比較をするとS1の方がやや不利ですが、それは理論値の話。実際は、スペック表だけでは分からない部分が、本当に徹底されているので、明るさの点で両者の差は感じません。
一般的なコンパクトタイプとしては珍しく、「9層マルチコート」を採用。超高級機並みの仕様です。
下の写真をご覧ください。
レンズに移り込んでいるのは、白い蛍光灯。反射光は茶色・黄緑・金色が混ざったような複雑な色です。
試しに他のコンパクト双眼鏡のスペック表を注意深く見ていただきたいのですが、ほとんどが、「全面モノコート」か「一部のみ多層膜コート」を採用しているはずです。
分光透過率のグラフを見ていただきます。
可視光線の広い範囲にわたり、95%以上の透過率を維持しています。
旧型のA2と比較すると、約5%ほど上昇しております。
たとえば、白く見えるものはすべての可視光線が乱反射して見えている結果なので、特定の色の透過率が低くなるような偏りが生じると、きれいな白が再現されなくなります。
「ヒノデ6×21-S1」では、偏った着色はなく、極めて自然な色を再現していることが、のぞいた瞬間に体感できます。
どんなに光の透過率が高くても、視野全体が白っぽく見えてしまうようでは、まったく意味がありません。
話が脱線するのですが、
液晶テレビのCMを見ていると、「黒色」が美しい、ことを必死にアピールしています。
このことから分かるように、
「黒をはっきりと再現」=「コントラストの高さ」は、「美しく見せるため・細かい描写力のため」の重要な要素なのです。
双眼鏡の場合、「黒」を白けさせずに「真っ黒」に見せるには、徹底した迷光対策が必要になってきます。
これは本来の光の通り道とは異なって、斜め方向から入る光を「迷光」と呼んでいます。
上記写真は、日の出光学より提供。
左から、遮光環、対物レンズ側から確認出来る遮光環、プリズムのコバ塗り、レンズのコバ塗り
まず、遮光環6枚を最も効果的な位置に入れてあり、作り手の本気度がうかがえます。
こんなこと、普通のコンパクトでは絶対にやりません。
これだけで驚いていてはいけません。さらにすごいのが、
「ポロプリズム(Bak4)」に切り込みを入れ、斜めから入る光をカットするような細工がされていること。
恥ずかしながら、初めて聞いたテクニック。日の出光学に確認したところ、
「激レア仕様で、聞いたことがない。」
そうです。
最後の極め付けは、対物レンズとプリズムの縁に、「コバ塗り」と呼ばれる処理をしております。通常、白いスリガラス状になっている部分ですが、ここに艶消し塗料を塗ってコントラストの向上を狙っています。
「ヒノデ6×21-S1」のコントラストの高さは、コンパクトの最上級といっても過言ではないと思います。
実際、最高級クラスであるライカのコンパクト機と比較したことがあるのですが、「最初の3秒位は違いが分からなかった」ほどです。
(4秒ほどで周辺像の崩れ方の違いに気づきはじめましたが)
逆光時の見え方を確認したところ、フレアーなどがほとんど発生せず、気持ちのいい見え味を楽しめます。
星好きの私としては、つねづね、せめて視野中心30%くらいは点像に近いくらいのシャープさが欲しいなあ、と思っています。
でも、この基準を満たそうとすると、店頭にならぶ大多数のコンパクトが脱落してしまいます。
実際に「ヒノデ6×21-S1」で星を見た感想ですが、
視野中央半分くらいは、星がシャープに見えてホッとしました。
周辺15%位のところから歪みが出ますが、手持ち双眼鏡で見たいものは中央で見るので、ほとんど気になりません。
見かけ視界は、標準的な広さの48°ですが、低倍率で実視界が8度あるので、導入に手こずることはほとんどないです。
実に、快適です。
双眼鏡の性能が分かりやすい、夕暮れ時の薄暗い中でテストしました。色づいた木の葉を対象に、他社のコンパクト機(7×28ダハ)と見比べてみました。
安価なダハは、コントラストが極端に悪く、全体的にのっぺりとした印象です。微妙な色の違いも見分けることが出来ません。
一方、S1は薄暗いながらもメリハリのある見え方で、木の葉の微妙なグラデーションも確かに確認出来ます。
計算上の瞳径では7×28の方が勝っていますが、実際に感じる明るさはS1の方が明らかに上です。
プリズムの違いによるところを割り引いたとしても、軍配はS1に上がるでしょう。
ボディは、過去に他社から販売されていた双眼鏡と同じものを使用しています。使い古されたもの=やっぱり使い易い、ということでもありますし、何よりコストを抑えられます。
特筆すべきは、重量が180gであること。
コンパクトの中でも、これはかなり軽い方です。
防水機能を捨てることによって、携帯性を確保しております。
感覚的に理解していただけると思うのですが、一定以上の軽さでは手の震えが伝わりやすいのです。ちょっと重いくらいの方が、震えが伝わらないんですよ。
上の写真のように持つと、細かい揺れが伝わってしまいます。
私のおすすめの構え方です。
両手で包み込むようにして目に当てると、細かい震えがなくなるので具合がいいのです。
正面から(対物レンズ側)の写真
丸っこい形で女性の手にも持ちやすいと思います。上部の黒い部分がピント調整リングです。写真では白っぽく見えますが、上部の色は「シャンパン・ゴールド」。品のあるゴールドです。ちょっと、高級っぽく見えませんか?
対物レンズはやや奥まった位置にありますので、直接手で触ってしまったり、物をぶつけてしまうことはほとんど起きないと思います。
接眼レンズ側からの写真
接眼レンズにもマルチコートが施されています。視度調整リングは適度な堅さです。
眼幅は58ミリから70ミリまで調節が出来ます。目安としては、小学校高学年くらいのお子様からご利用いただけます。
ストラップは左右両吊りのタイプです。
ケラレは全くありません。きれいな円のひとみ径です。
メガネ使用者は、見口のゴムを折り返した状態で使用します。ほぼ全視野が見られますが、わずかに欠ける場合があります(ほとんど気 にならないレベル)。
1ヶ月間、返品を受け付けます。
クオリティには自信がありますが、ご満足いただけない場合は、返品を受け付けます。商品の到着確認後、送料を含めて、返金いたします。
通常使用の範囲内で故障した場合は、購入から1年間無償で修理いたします。
窓口は、双眼鏡倶楽部にて承ります。